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「理学療法士として整骨院を開業できるの?」
そう疑問に思う方は多いのではないでしょうか。実は、理学療法士には法律上の「開業権」がなく、そのまま整骨院を立ち上げることはできません。整骨院は柔道整復師が開業できる施術所であり、理学療法士とは制度上の立場が大きく異なります。
本記事では、整骨院と理学療法士の関係、柔道整復師との違い、もし独立を目指すならどんな方法があるのかをわかりやすく解説します。
理学療法士は整骨院開業を開業できない
結論から言うと、理学療法士は整骨院を開業することはできません。その理由は法律で定められている「業務範囲」と「開業権」にあります。
理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格であり、医師の指示のもとで理学療法(運動療法や物理療法など)を提供する専門職です。
そのため、医師の指示なしに独自に施術を行ったり、理学療法を業として開業することは法律上認められていません。
整骨院は柔道整復師が運営する施術所です。柔道整復師は「柔道整復師法」に基づき、骨折や脱臼、捻挫などに対して自らの判断で施術を行う権限があり、独立開業権が与えられています。
つまり、
- 理学療法士…医師の指示の下で働く専門職(開業権なし)
- 柔道整復師…開業して施術所を運営できる国家資格
という違いがあるため、理学療法士が「整骨院」という名称で開業することはできないのです。
ただし、理学療法士の知識や経験を活かし、整体院やトレーニングジム、リハビリをベースにした自費サービスを提供する形での独立は可能です。
ここを誤解して「整骨院を開業できる」と考える人が多いので、まずはこの前提を正しく理解しておきましょう。
「整骨院を開業するには柔道整復師の国家資格が必要です。詳しくは整骨院開業に必要な資格について解説した記事をご覧ください。」
整骨院と理学療法士の業務範囲・制度の違い
理学療法士と柔道整復師は、いずれも身体機能の回復に関わる専門職ですが、法律上の立場や開業の可否には大きな違いがあります。
保険医療機関と整骨院の違い
- 保険医療機関(病院・クリニック):医師が在籍し、健康保険を利用して診察・リハビリが可能。理学療法士は医師の指示に基づき業務を行う。
- 整骨院:柔道整復師が施術を行う場で、医師は在籍していない。健康保険が使えるのは骨折・脱臼・捻挫・打撲などの急性外傷に限られる。
理学療法士と柔道整復師の違い(比較表)
項目 |
理学療法士 |
柔道整復師 |
資格の位置づけ |
国家資格(理学療法士及び作業療法士法) |
国家資格(柔道整復師法) |
主な勤務先 |
病院、クリニック、介護施設 |
整骨院、自らの施術所 |
医師の指示 |
必要(医師の指示の下で理学療法を実施) |
原則不要(一定範囲で独自判断で施術可能) |
開業権 |
なし |
あり(整骨院を開業できる) |
健康保険 |
医師の指示に基づき病院などで適用 |
骨折・脱臼・捻挫・打撲など急性外傷のみ適用 |
主な業務 |
運動療法、物理療法、日常動作訓練 |
整復法、固定法、後療法など |
このように、理学療法士は「医師の指示を受けて動作能力の回復を支援する職種」、柔道整復師は「独立して整骨院を開業できる施術者」という大きな違いがあります。
資格や施術範囲の違いを整理するためには、整骨院と整体院の違いも参考になります。
理学療法士が整骨院で担えること・担えないこと
整骨院で理学療法士が働く場合、資格を直接活かした理学療法を提供することはできません。法律上の制約があるため、整骨院で理学療法士が担える業務と担えない業務を整理しておきましょう。
担えること
理学療法士は医療知識や運動学に精通しているため、整骨院でも以下のような業務に携わることは可能です。
- 受付や患者対応などのサポート業務
- トレーニングやストレッチ指導などの運動アドバイス(自費サービスとして)
- 健康維持や姿勢改善を目的とした生活指導
- 自費リハビリやコンディショニング分野での施術サポート
これらは「理学療法」という枠を超えて、一般的なフィットネスやボディケアの範囲に入るため、整骨院内でも違法性なく行うことができます。
担えないこと
一方で、理学療法士が整骨院で資格を用いて理学療法を行うことはできません。
- 医師の指示なしに理学療法(運動療法や物理療法)を提供すること
- 健康保険を用いた治療リハビリを整骨院で行うこと
- 「理学療法士が施術します」と広告して患者を集めること
これらは法律で禁止されており、違反すると行政処分の対象となる可能性があります。
理学療法士が整体やボディケアを行うケースもありますが、あくまで「理学療法」とは区別して提供する必要があります。資格を前面に出して医療行為と誤解される表現をすることは避けましょう。
理学療法士が開業を目指す場合の選択肢
理学療法士は法律上「開業権」を持たないため、整骨院を開業することはできません。
しかし、資格や経験を活かして、別の形で独立する道はいくつか存在します。
自費整体やパーソナルトレーニング事業
理学療法士として培った身体の知識を活かし、自費の整体院やパーソナルトレーニングジムを運営するケースがあります。
例えば、姿勢改善、運動指導、ストレッチなどは「理学療法」とは異なる民間サービスとして提供可能です。
介護領域での事業(デイサービスなど)
理学療法士の専門性を活かしやすいのが介護分野です。
特にデイサービスでは「機能訓練指導員」としてのスキルが評価され、経営者として施設を運営する例もあります。
要介護高齢者を対象にしたリハビリ特化型デイサービスは、理学療法士の知識を強みとしてアピールできます。
もし、資金調達を考えているなら、整骨院開業に活用できる助成金・補助金も参考にしてください。また、整骨院開業の流れも気になる人はチェックしてみてください。
理学療法士が開業できるのは整体院やパーソナルジムトレーニング
理学療法士は法律上、整骨院を開業することはできません。
ただし「整体院」や「パーソナルトレーニングジム」など、自費サービスで独立することは可能です。
そのときに気をつけたいのが、お金の流れとリスクです。
どれくらい稼げる?
たとえば整体院として独立した場合のシミュレーションです。
- 1回の料金:5,000円
- 1日あたりの施術人数:5人
- 月20日営業とすると…
月の売上は「約50万円」、年にすると「約600万円」になります。
ただし、ここから家賃や光熱費、機器の購入費、人を雇うなら人件費などが引かれます。
実際に手元に残るのは、思っているより少ないことも多いです。
初期費用もかかる
開業にはテナント契約や内装工事、ベッドや機器の購入で数百万円かかることもあります。
さらに、開業してすぐにお客さんが安定して来るわけではないので、数ヶ月は赤字覚悟で資金を準備しておく必要があります。
助成金や補助金を活用できる場合も
整骨院としての制度は使えませんが、介護や中小企業向けの制度でサポートが受けられるケースもあります。
特にデイサービスなどを始めるときには、地域によって補助金があることもあります。
失敗しやすいパターン
-
- 「資格があるから自然とお客さんが来る」と思って準備を怠る
- 「資格があるから自然とお客さんが来る」と思って準備を怠る
- 値段に見合ったサービスを提供できずリピートにつながらない
- 初期投資をかけすぎて資金が尽きる
理学療法士としての専門性は強みですが、経営は別のスキルです。
開業を考えるときは「施術者」と「経営者」、両方の目線を持つことが大切です。
整骨院の開業を考えている人向けの記事ですが、整骨院開業は儲からない?の記事や、整骨院の年収についてまとめた記事も参考になります。
整骨院の開業相談ならジョイパルにご相談
理学療法士は法律上、整骨院をそのまま開業することはできません。
もし独立を目指すなら、整体院やトレーニングジムなど、自費サービスでのスタートを考える必要があります。
一方で、整骨院を開業するのは柔道整復師の資格がある人です。
しかも資格だけでなく、実務経験や研修などの条件もそろえなければなりません。
開業には「お金」「場所」「集客」「経営スキル」など、悩むことがたくさんあります。
そんなときは、整骨院の開業支援を行っているジョイパルに相談してみてください。
制度のこと、資金計画のこと、集客や広告のことまで、開業に必要な準備をトータルでサポートしてもらえます。
「ひとりで悩むより、専門家に聞いてみたい」――そんな気持ちを持ったら、まずは気軽にご相談ください。
柔道整復師として独立・開業したいと考えている方にとって、資格を取っただけで開業できるわけではありません。実務経験や施術管理者研修、さらには保健所や地方厚生局への届出など、複数の条件を満たす必要があります。
本記事では、柔道整復師が開業するために必要な要件や手続きの流れ、開業準備の流れ、費用や収益の目安、失敗を防ぐためのポイントまでわかりやすく解説します。
これから整骨院・接骨院を開業したい方は、ぜひ参考にしてください。
柔道整復師の開業は可能?資格だけでは不十分な理由
柔道整復師の国家資格を取得すると、「すぐに整骨院を開業できる」と考える方も少なくありません。
しかし実際には、資格だけで開業することはできないのが現状です。
なぜなら、保険を取り扱うためには「施術管理者」としての要件を満たす必要があるからです。施術管理者とは、柔道整復師が健康保険を使った施術を行う際に、請求や運営を適切に管理する立場の人を指します。
柔道整復師免許だけでは開業できないのはなぜ?
柔道整復師免許を持っていれば、施術そのものは可能です。
しかし「整骨院」「接骨院」として健康保険を取り扱うためには、施術管理者の資格が必須となっています。資格取得直後に独立できないのはこのためです。
詳しくは「 接骨院・整骨院開業には資格(柔道整復師)が必要?国家資格だけはNG?」の記事が参考になります。
施術管理者が必要となる理由
患者さんが保険証を使って施術を受ける場合、柔道整復師は療養費を保険者に請求します。
このとき、適切に請求が行われるよう管理するのが施術管理者の役割です。
もしこの条件を満たさないまま保険請求を行えば、違法請求や不正のリスクとなり、開業そのものが認められません。
柔道整復師の開業に必要な条件と実務経験年数
柔道整復師として開業するには、国家資格を取得するだけでなく、施術管理者になるための条件を満たさなければなりません。特に重要なのが「実務経験」と「施術管理者研修」です。ここでは、まず実務経験の要件について整理します。
2018年以降のルール変更と実務経験の年数
以前は、柔道整復師の資格を取得すればすぐに開業できました。
しかし、療養費の不正請求防止や制度の健全化を目的に、2018年4月から施術管理者になるための要件が厳格化されています。
実務経験の必要年数は届出時期によって段階的に増加しました。
- 2018年4月~2022年3月まで:1年間
- 2022年4月~2024年3月まで:2年間
- 2024年4月以降:3年間
つまり、現在(2025年時点)に新たに施術管理者の届出を行う場合は、3年以上の実務経験が必須です。
2024年以降は3年の実務経験が必須
「柔道整復師として独立開業したい」と考えている人にとって、この「3年ルール」は大きなハードルです。
実務経験は、施術管理者や開設者がいる登録施術所で勤務し、日々の業務を通じて積み上げる必要があります。
この期間をクリアしていなければ、施術管理者になることはできず、保険を扱う整骨院としての開業はできません。そのため、資格取得後すぐに独立するのではなく、まずは勤務柔道整復師として経験を積むのが一般的な流れです。
実務経験を証明する方法と注意点
実務経験を証明するためには、勤務先の施術所の管理者が発行する「実務経験期間証明書」が必要です。
証明書は定められた様式に基づき作成され、地方厚生局に届け出る際に提出します。
注意点として、非登録の施術所や、柔道整復師以外の業務は実務経験として認められません。
「アルバイト感覚で働いていたけど、証明を出してもらえなかった」というケースもあるため、勤務先の選び方も重要なポイントです。
柔道整復師の開業に必須となる施術管理者研修
柔道整復師として開業するには、実務経験に加えて施術管理者研修の受講・修了が必要です。
この研修は、適切に保険請求を行い、安全で質の高い施術を提供するために設けられた制度です。
施術管理者研修の内容と学べること
施術管理者研修は、厚生労働省の登録を受けた「公益財団法人柔道整復研修試験財団」が実施しています。
出典:柔道整復研修試験財団
研修は16時間以上にわたり、以下の内容を学びます。
- 職業倫理
- 施術所の運営・管理方法
- 保険請求の基礎知識
- 安全な臨床を行うための知識
開業後に必要となる「経営と運営の基礎」を体系的に学べるのが大きなメリットです。
修了証の有効期間と更新の考え方
研修を修了すると「施術管理者研修修了証」が発行されます。
この修了証は5年間有効であり、有効期限を過ぎると改めて研修を受講する必要があります。
つまり、資格を取ってすぐに開業せず勤務経験を積む場合でも、タイミングを見て研修を受けておくことが大切です。
柔道整復師会など団体加入による開業サポート
また、柔道整復師として開業する際には、各地域の柔道整復師会や関連団体に加入するケースが一般的です。 これらの団体では、以下のようなサポートが受けられます。
- 保険請求に関する事務代行
- 開業手続きの相談窓口
- 経営や広告に関する勉強会・研修会
研修と合わせて団体の支援を活用すれば、初めての開業でも安心してスタートを切ることができます。
柔道整復師の開業に必要な手続きと行政への届出
柔道整復師が開業する際は、資格や実務経験・研修を満たすだけでは不十分です。
公的機関へ正しく届出を行い、施術所として認められる必要があります。ここでは、主な手続きの流れを紹介します。
保健所への施術所開設届
出典:東京都保健医療局
開業したら、10日以内に管轄の保健所へ施術所開設届を提出します。必要書類には以下のようなものがあります。
- 柔道整復師免許証の原本と写し
- 施術所の平面図
- 最寄駅からの案内図
- 賃貸契約書(賃貸物件の場合)
平面図や待合室の広さには基準が定められています。
接骨院・整骨院の広さは最低「施術室6.6㎡・待合室3.3㎡」以上必要!
地方厚生局への受領委任契約の届出
健康保険を取り扱うには、地方厚生局に「受領委任契約」の届出を行います。
この際には、以下の書類が必要です。
- 確約書・誓約書
- 実務経験期間証明書
- 施術管理者研修修了証の写し
- 施術所の平面図・周辺図
これらの届出を完了して初めて、保険請求を行うことが可能になります。
共済組合・防衛省への届出(公務員・自衛官向け)
国家公務員や地方公務員、自衛官を対象に施術を行う場合は、別途届出が必要です。
- 国家公務員 → 共済組合連盟
- 地方公務員 → 地方公務員共済組合連合会
- 自衛官 → 防衛省
対象者がいる地域で開業する場合は、事前に準備しておくとスムーズです。
労災保険の取扱い申請
労災保険を扱うためには、労働基準局へ申請を行います。
審査には1〜3か月かかる場合があり、開業直後に労災対応ができないと患者対応に困ることもあります。
余裕を持って準備しましょう。
税務署への開業届と個人事業主登録
個人で開業する場合は、税務署へ「開業届」を提出し、個人事業主として登録します。
このとき、青色申告の承認申請も合わせて行うと節税効果があります。
経費処理や税務に関しては、接骨院・整骨院の経費で落とせるもの一覧! を参考にしてください。
柔道整復師の開業準備の流れとスケジュール
柔道整復師として開業する際は、資格や届出の準備に加えて、物件探しや資金計画、内装工事など多くの実務的な準備が必要です。ここでは、一般的な準備の流れを時系列で整理します。
物件選びと商圏調査
まず大切なのは「どこで開業するか」という立地の決定です。
同じ地域に競合が多すぎると集患が難しくなるため、人口動態や周辺施設などを調べる商圏調査が欠かせません。
患者さんにとって通いやすい立地条件を見極めることが大切です。
事業計画・資金計画の立案
物件が決まったら、事業計画を具体化させます。
売上予測、月々の支出、運転資金の確保などを明確にして、金融機関からの融資や補助金申請に備えましょう。
費用についての詳しい情報は → 接骨院・整骨院開業費用は最低いくら必要?資金ゼロ・開業費用を抑えるポイント
また、補助金や助成金については → 接骨院・整骨院開業の助成金・補助金4選 も参考になります。
内装・設備・動線設計のポイント
施術スペースや待合室は、患者さんが快適に過ごせるよう工夫することが重要です。
特に動線(受付・待合室・施術室・トイレの配置)は、スムーズな運営に直結します。
事例やデザインの工夫は、「整骨院・接骨院の内装をおしゃれにするには?レイアウト事例も紹介」 をご覧ください。
開業までのタイムライン(モデルケース)
一般的に、柔道整復師の開業準備には6か月〜1年程度かかることが多いです。
- 開業6か月前:資金計画・事業計画の作成、物件探し
- 開業3〜4か月前:物件契約、内装工事の打ち合わせ
- 開業2か月前:各種届出の準備、融資や補助金の申請
- 開業1か月前:内装工事完了、備品や機器の導入、広告準備
- 開業直前:スタッフ教育やオペレーションの確認
このように逆算しながら進めることで、スムーズにオープンを迎えられます。
開業準備全体の流れを知りたい方は、接骨院・整骨院の開業の流れ・必要な手続きと開業準備を参考にしてください。
柔道整復師の開業にかかる費用と資金調達
柔道整復師として開業する際に、多くの方が気になるのが「どれくらい費用がかかるのか」という点です。開業には物件取得や内装、医療機器の導入など、まとまった資金が必要になります。ここでは、費用の内訳の一例と調達方法を紹介します。
実際には、開業する地域や規模によって異なり、日本政策金融公庫などから融資を受け、ほぼ自己資金ゼロで開業を目指す方もいます。
初期費用の内訳(内装・設備・広告・運転資金)
整骨院・接骨院を開業するための初期費用は、規模や立地によって差はありますが、数百万円〜1,000万円程度かかるのが一般的です。主な内訳は次のとおりです。
- 物件取得費用(保証金・礼金・仲介手数料など)
- 内装工事費用(施術室・待合室・トイレの設計、バリアフリー対応など)
- 医療機器・備品購入費(施術ベッド、低周波治療器、受付システムなど)
- 広告宣伝費(チラシ、ホームページ、看板など)
- 運転資金(人件費、家賃、光熱費、消耗品などを3〜6か月分)
詳しくは → 接骨院・整骨院開業費用は最低いくら必要?資金ゼロ・開業費用を抑えるポイント を参考にしてください。
創業融資・補助金・助成金の活用方法
まとまった資金を自己資金だけで賄うのは難しいため、金融機関や公的制度を活用するケースが一般的です。
- 日本政策金融公庫の創業融資:無担保・無保証での融資が可能
- 信用保証協会付き融資:銀行融資を受けやすくする仕組み
- 地方自治体の補助金・助成金:開業支援や設備導入に使える制度
助成金や補助金についての詳細は、接骨院・整骨院開業の助成金・補助金4選 をご覧ください。
資金繰りを安定させるキャッシュフロー管理
柔道整復師として開業した直後は、売上が安定するまで時間がかかることが多いです。さらに、保険請求は入金まで1〜2か月程度のタイムラグがあるため、資金繰りに余裕を持たせることが大切です。
- 運転資金を十分に確保しておく
- 融資や補助金を「開業資金+生活費」まで見込んで借りる
- 自費施術や回数券の導入でキャッシュフローを改善する
資金計画を甘く見積もると、黒字経営でも資金ショートを起こす可能性があるため注意が必要です。
柔道整復師の開業後に見込める収益と年収モデル
柔道整復師として開業した後、多くの方が気になるのが「どのくらいの収益や年収が期待できるのか」という点です。収益は立地・集患力・経営手腕によって大きく変動しますが、目安となるモデルを知っておくと事業計画を立てやすくなります。
客単価×来院数×稼働率の計算式
収益はシンプルに次の計算式で表せます。
売上=客単価 × 来院数 × 営業日数
- 客単価:保険施術 1,000〜2,000円前後/自費施術 5,000円前後
- 来院数:開業直後は1日数名、安定すれば10〜20名以上
- 営業日数:月20〜25日程度
この数値を掛け合わせることで、おおよその月商をシミュレーションできます。
一人開業での収益シナリオ例
たとえば、客単価4,000円・1日10人・月22日稼働の場合:
4,000円 × 10人 × 22日 = 月売上 88万円
年間にすると、約1,000万円超となります。
もちろん、ここから家賃・人件費・材料費などの経費を差し引く必要があります。
経費率を30〜40%と見積もると、実際の手残りは600万円前後が目安となります。
以下の記事で詳しくまとめているので、参考にしてください。
接骨院・整骨院の年収はいくら?一人経営者の平均年収や柔道整体師の給与水準
柔道整復師の開業による年収と成功条件
一般的に、柔道整復師の勤務時代の平均年収は300〜400万円程度とされています。
しかし、独立開業すれば年収600万円〜1,200万円を目指すことも可能です。
ただし成功するには以下の条件が欠かせません。
- 立地条件が良く、一定の患者数を確保できる
- 経営スキルを磨き、リピート率を高められる
- 保険診療に頼りすぎず、自費施術や物販を取り入れる
一方で、十分な準備をせずに開業すると「思ったより儲からない」という結果になりやすい点も事実です。
失敗リスクについては、接骨院・整骨院開業は儲からない?失敗理由と儲かるための方法は? で詳しく解説しています。
柔道整復師の開業で直面する失敗リスクと対策
柔道整復師として開業すれば、高収入や自由な働き方を実現できるでしょう。しかし、準備不足や経営スキルの欠如によって失敗してしまうケースも少なくありません。
ここでは、よくあるリスクとその対策を解説します。
経営スキル不足による赤字リスク
施術技術に自信があっても、経営の知識やスキルがなければ赤字に陥るリスクがあります。
実際の運営では、集客・マーケティング・スタッフ管理・会計知識が欠かせません。
対策としては、以下の方法が有効です。
- グループ院で院長やマネージャーを経験してから独立する
- 開業前に経営セミナーや勉強会に参加する
- 税理士や経営コンサルタントに相談する
次に、患者さんが集まらず、リピートしない理由について解説します。
患者さんが来ない・リピートしない理由
「思ったより患者が来ない」「1回来ても続けて通ってもらえない」ことも、開業失敗の典型例です。
原因は以下のようなものが考えられます。
- 立地やターゲット層のミスマッチ
- 患者さんへの説明不足で、施術効果が伝わらない
- 接遇や院内環境に不満がある
患者数が伸び悩む原因については、整骨院に患者さんが来ない?よくある原因と増やすコツ で紹介しています。
差別化戦略(専門性・接遇・ブランディング)
競争が激しい市場で生き残るには、「他院にはない強み」を打ち出すことが重要です。
- 専門性:スポーツ外傷、交通事故、産後ケアなど得意分野に特化する
- 接遇:丁寧な説明、清潔感のある院内、予約システムの導入
- ブランディング:院名やロゴで印象を高める
以下の記事が参考になります。
これらを意識することで、患者さんに選ばれる整骨院づくりが可能になります。
柔道整復師の開業で知っておきたい法令と実務運用
柔道整復師が開業する際には、施術技術や経営スキルだけでなく、法令や運用上のルールについてもしっかり理解しておく必要があります。これを怠ると、知らず知らずのうちに法令違反やトラブルを招くことになりかねません。
広告ガイドラインの注意点
柔道整復師が開業した整骨院・接骨院は、「医療広告ガイドライン」に準じた広告規制の対象となります。
禁止されている表現例は次の通りです。
- 「必ず治る」「すぐに治る」など効果を断定する表現
- ビフォーアフター写真や患者の体験談の掲載
- 医師を連想させる表現(ドクター、専門医など)
- 他院との比較で優れていると示す表現
広告規制に引っかからないようにする必要がありますので、整骨院・接骨院の広告規制・広告ガイドラインの記事をご確認下さい。
保険請求と受診照会対応の基礎
保険を扱う場合、柔道整復師には適切な請求管理が求められます。
特に注意したいのが「受診照会(施術内容照会)」です。これは、保険者が施術内容の正当性を確認するために送付するものです。
- 無視せず、必ず期限内に返送する
- 内容に不安がある場合は整骨院に相談する
- 嘘の記載はせず、正確に対応する
整骨院の受診照会とは?無視したらどうなるのか・書いてもらうのはありか
カルテや同意書など記録管理の重要性
柔道整復師が開業する際は、施術内容をカルテに記録し、必要に応じて同意書を取得することも大切です。
カルテは施術の根拠を示すだけでなく、万一トラブルが発生したときの証拠にもなります。法規を守るためには、日々の記録を正確に残す仕組みを整えておきましょう。
柔道整復師の開業前に確認したいチェックリスト
柔道整復師として開業するには、資格や届出、資金など多くの準備が必要です。いざオープン直前になって「書類が足りない」「資金が不足していた」といった事態を避けるために、以下のチェックリストで確認しておきましょう。
資格・実務経験・研修の有無
- 柔道整復師免許を取得済みか
- 必要な実務経験(2024年以降は3年)を満たしているか
- 施術管理者研修を修了し、修了証を受け取っているか
必要書類や届出の準備状況
- 保健所への施術所開設届を準備しているか
- 地方厚生局への受領委任契約の届出は完了しているか
- 共済組合・防衛省・労働基準局への届出は必要か確認したか
- 税務署へ開業届を提出しているか
届出や書類関係の詳細は →接骨院・整骨院の開業の流れ・必要な手続きと開業準備 をご参照ください。
資金・設備・集患戦略の整備
- 初期費用や運転資金を十分に確保しているか
- 融資や助成金の申請を行ったか
- 施術所の内装・動線設計は完了しているか
- 集患方法(チラシ・ホームページ・SNSなど)を準備しているか
資金計画の詳細は →接骨院・整骨院開業費用は最低いくら必要?
助成金活用は →接骨院・整骨院開業の助成金・補助金4選
柔道整復師の開業は条件を満たせば可能!計画的に準備しよう
柔道整復師として開業するには、国家資格だけでは不十分で、実務経験・施術管理者研修・各種届出といった要件を満たすことが欠かせません。
さらに、物件選びや資金計画、内装工事、広告準備など、実務的な準備も多く存在します。
準備が整えば、柔道整復師の開業は年収600万円〜1,000万円以上も目指せる可能性がありますが、逆に経営スキル不足や集患力の弱さが原因で「思ったより儲からない」と感じるケースもあります。
そのため、以下の流れを意識して計画的に進めることが大切です。
- 条件を満たして施術管理者になる
- 行政への届出を正しく完了させる
- 開業資金と運転資金を十分に確保する
- 経営スキルや集患戦略を磨く
費用や資金面を詳しく知りたい方は →
接骨院・整骨院開業費用は最低いくら必要?
収益面を確認したい方は →
接骨院・整骨院開業は儲からない?失敗理由と儲かるための方法は?
開業準備は想像以上に手続きが多く、資金計画や集客戦略まで一人で進めるのは大変です。
「どこから手をつければいいのか分からない」「届出や資金調達が不安」という方は、専門のサポートを活用するのも一つの方法です。
ジョイパルでは、柔道整復師の開業に必要な手続きや資金面の相談、広告・集患のアドバイスまでトータルでサポートしています。
これから整骨院・接骨院を開業したい方は、まずは気軽にご相談ください。
ジョイパルでは、このような質問をよくいただきます
Q1 | 接骨院、接骨院の開院を検討中だけど、どこで開業するとよいでしょうか? |
---|---|
Q2 | 医療機器の購入を検討しているのですが・・・ |
Q3 | 費用対効果の高い医療機器について聞きたいです! |
Q4 | 中古医療機器の購入を考えているのですが・・・ |
Q5 | 今まで以上に 患者さんの集客を考えていますが、どうすれば良いですか? |
Q6 | 店舗を 患者さんが利用しやすいようにリフォームしたいのですが・・・ |