接骨院・整骨院の経費で落とせるもの一覧!勘定科目と節税方法
2025年06月17日
整骨院や接骨院を経営していると、機器の購入や家賃、チラシの印刷など、さまざまな支出が発生します。
こうした費用の中には「経費」として計上できるものが多くありますが、「どれが経費になるのか?」「何費にすればいいのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、整骨院・接骨院で経費として落とせるものを一覧でご紹介します。あわせて、節税に役立つ制度や勘定科目の選び方、領収書の扱い方まで、初めての方でもわかりやすく解説します。
接骨院・整骨院で落とせる経費の具体例
整骨院や接骨院を経営していると、毎月いろいろなお金がかかりますよね。
その中で、仕事に関係する支出は「経費」として処理することができます。
ここでは、どんなものが経費になるのか、具体例をあげながらわかりやすく説明していきます。
たとえば、治療で使う機器やテーピング、チラシを配るための印刷費などは、「仕事のために使ったお金」なので経費にできます。ただし、プライベートで使ったものは経費にできません。「この出費は、整骨院の仕事に必要だったのか?」という点が大事です。
整骨院の開業にかかる初期費用の目安については、「整骨院の開業に必要な費用はいくら?」の記事で詳しく紹介しています。
では、整骨院や接骨院でよくある経費の具体例を紹介します。
施術用機器・ベッド・備品など
電気治療器やベッド、枕、カーテンなど、患者さんに施術を行うために必要な道具は、すべて経費にできます。ただし、価格が10万円を超えるような高額な機器については、「固定資産」として減価償却が必要になることもあるので注意しましょう。
消耗品(テーピング、衛生用品など)
テーピングや包帯、アルコール綿、マスク、手袋などの消耗品も経費に入ります。
毎日使うものなので、しっかり記録しておくのがおすすめです。
ユニフォーム・タオル
施術中に着る白衣やポロシャツ、患者さん用のタオルなども経費にできます。
クリーニング代も対象になります。
家賃・水道光熱費
テナントを借りて整骨院を開いている場合、その家賃や電気代・ガス代・水道代も経費です。
自宅の一部を使っている場合は、「事業に使っている割合」だけを経費にできます(これを「按分」といいますが、後で説明します)。
通信費・広告宣伝費
電話代やインターネット回線の費用、ホームページの運営費なども経費に入ります。また、チラシを作って配布した費用や、SNS広告なども「広告宣伝費」として計上できます。
セミナー・勉強会参加費
施術のスキルアップや経営に役立つセミナーや勉強会に参加したときの参加費・交通費も経費にできます。
車両費(出張施術など)
患者さんの自宅に出張して施術を行う場合、その車のガソリン代・高速代・駐車場代も経費にできます。
もちろん、プライベートのドライブなどと混ざらないように注意が必要です。
たとえば、自宅の一部を施術室として使っている、車を仕事でもプライベートでも使っている、といったケースでは、「何割が仕事用か」をきちんと分ける必要があります。
これを「按分(あんぶん)」と呼びます。
たとえば家賃が10万円で、そのうち半分のスペースを整骨院として使っているなら、5万円だけを経費として計上する、という感じです。
この按分は、感覚ではなく「面積」や「使用時間」など、説明できる根拠があると安心です。
【勘定科目別】整骨院・接骨院の経費分類
経費にできるものがわかっても、「これって何費になるの?」と迷うこと、ありませんか?
ここでは、会計ソフトや確定申告で使う“勘定科目”について、整骨院や接骨院でよく使うものを中心に紹介します。
消耗品費
テーピングや衛生用品、文房具など、使いきりのアイテムはここにまとめます。
金額が小さく、繰り返し購入するものが対象です。
備品費
施術ベッドや電気治療器など、ある程度高価で長く使うものは「備品」として記録します。
10万円未満なら「消耗品費」とするケースもありますが、10万円を超える場合は「固定資産」として減価償却が必要になる場合も。
地代家賃
店舗や施術スペースの家賃はここに。自宅の一部を使用している場合は、事業で使っている分だけを按分して計上します。
水道光熱費
電気代・水道代・ガス代などのインフラ系は「水道光熱費」にまとめます。こちらも自宅と併用なら按分が必要です。
通信費
スマホや固定電話、インターネット回線など、連絡やネット利用の費用はこちら。
Wi-Fi代や業務用アプリの通信料も含めてOKです。
広告宣伝費
チラシ、パンフレット、Web広告、看板など、集客のためにかけた費用をまとめます。
交際費
取引先との食事、業界関係者との懇親会など、事業を円滑に進めるための接待費用です。しかし、個人的な飲み会はNGですので注意しましょう。
車両関連費
車で訪問施術に出かけるときのガソリン代・高速代・駐車場代・自動車保険などが対象です。
プライベートでも使う車の場合は、使用割合で按分しましょう。
旅費交通費
電車やバス、タクシーなどでの移動費。
講習会に行くときの交通費や、出張の交通・宿泊費もここに入ります。
研修費
セミナーや講習会の受講費、勉強のための教材費も「研修費」でOKです。
知識や技術の向上を目的としていれば、経費として認められやすいです。
勘定科目ごとの経費処理は、開業後の収入にも影響します。「整骨院の年収はどれくらい?院長の平均年収や売上目標」の記事を参考にして、手元に残る金額もチェックしてみましょう。
勘定科目は、「正確さよりも、一貫性」が大事です。たとえば、ティッシュ代を「消耗品費」にしたなら、今後も同じように分類しておくのがベターです。また、「どれに当てはまるかわからない…」というときは、ざっくり「雑費」にしても問題はありませんが、あくまで一時的な措置と考えましょう。
頻繁に使うものは、早めに勘定科目を統一しておくことで、あとでまとめるときにラクになります。
整骨院・接骨院の節税に役立つ制度
経費をしっかり使うことで、課税される所得を減らせる=つまり節税につながります。
ここでは、整骨院・接骨院の経営者が知っておくと役立つ、節税のやり方や制度を紹介します。
青色申告で65万円控除を活用する
個人事業主として整骨院を開業しているなら、青色申告がおすすめです。きちんと帳簿をつけて、決まった方法で申告すれば、最大65万円の控除が受けられます。
帳簿管理に少し手間はかかりますが、税金がぐっと減るので、ぜひ検討してみてください。
専従者給与の計上
家族に受付や事務を手伝ってもらっている場合、その家族に給料を払うことで、経費として計上できます。これを「専従者給与」といいます。
家族に正しく給料を払えば、自分の所得を減らせるので、結果的に節税になります。
※事前に「専従者給与の届出」が必要なので、税務署で確認しておきましょう。
小規模企業共済・経営セーフティ共済の活用
将来のために積み立てをしながら節税できる制度があります。
- 小規模企業共済:将来の退職金の積立ができる。掛金は全額所得控除。
- 経営セーフティ共済(倒産防止共済):万が一に備えた積立制度。これも全額経費にできる。
どちらも「積み立てながら節税」ができる制度です。
自宅兼事務所の家賃・光熱費の按分
自宅の一部を施術室や事務所として使っている場合、使っている割合に応じて家賃や光熱費を経費にできます。たとえば、「自宅の3割を施術に使っている」なら、家賃の3割を経費にできます。
車両費の活用(ガソリン代、保険料など)
出張施術や講習会に車を使うなら、ガソリン代・車検代・保険料なども経費になります。ただし、プライベートでも使っているなら「仕事で使った分」だけを按分して記録します。
法人化による節税効果
売上や利益が増えてきたら、法人化(会社を設立すること)も視野に入ります。法人にすると、役員報酬などをうまく使って所得を分けることができるので、個人よりも税率を下げられる場合があります。ただし、社会保険の加入や法人税の申告など、手間やコストも増えるため、タイミングや収益とのバランスが大切です。
経費にできる制度以外にも、助成金を活用する方法もあります。詳しくは、「接骨院・整骨院開業の助成金・補助金」を参考にしてください。
患者が医療費控除を申請するために、整骨院側が理解しておくべきこと
整骨院で施術を受けた患者さんから、
「この費用って医療費控除の対象になりますか?」
と質問されることは珍しくありません。
制度としての判断は患者と税務署の領域ですが、整骨院側も最低限の知識と対応の仕方を理解しておくことで、信頼につながります。以下で解説します。
医療費控除は「患者が確定申告で使う制度」
医療費控除とは、1年間に支払った医療費の合計が一定額を超えた場合に、所得税の一部が戻る制度です。
対象になるのはあくまで「治療のため」に必要な医療費で、整体や美容目的の施術などは対象外です。
整骨院で医療費控除の対象になる施術
柔道整復師が行う施術でも、すべてが医療費控除になるわけではありません。
対象になるには、以下の条件を満たす必要があります。
-
捻挫・打撲・骨折・脱臼など、治療目的の施術であること
-
医師の同意がある施術(保険適用対象の場合が多い)
-
日常生活で発生したケガに対する施術(スポーツ中のケガなど)
一方で、疲労回復、姿勢矯正、美容目的のマッサージなどは対象外です。
参考
整骨院側が対応すべき3つのポイント
① 領収書に「施術内容・部位」を明記する
医療費控除の申請では、施術の内容や目的が“治療目的”であることがわかる記載があると、患者側がスムーズに申請できます。
【記載例】
② 明らかに対象外のサービスは説明を添える
たとえば、骨盤矯正や美容マッサージなどを行った場合は、
「本施術は医療費控除の対象外です」とひと言添えておくと親切です。
③ 相談を受けたら「最終的な判断は税務署へ」と案内する
整骨院側で「これは控除できますよ」と確定的に伝えることは避けましょう。
あくまで参考として伝えたうえで、最終判断は税務署や税理士に確認いただくよう案内するのが安心です。
整骨院側が医療費控除について最低限の知識を持ち、
患者に対してわかりやすく説明したり、適切な領収書を発行することで、
「この院は信頼できる」と感じてもらえる機会にもなります。
制度の枠組みを押さえつつ、無理のない範囲で対応するようにしましょう。
整骨院・接骨院の節税は専門家への相談しよう
節税については、ある程度自分で調べてできる部分もありますが、税理士に相談するとより安心です。
ここでは、税理士に頼むメリットや、気をつけたいポイントを紹介します。
節税のアドバイスがもらえる
「この支出は経費にできるのか?」「家族に給料を出すにはどうしたらいいか?」など、迷ったときにすぐ聞けるのが最大のメリットです。
税理士は税金のプロなので、法律に基づいた正しい方法で節税できるようアドバイスしてくれます。
確定申告がスムーズ
自分で申告しようとすると、帳簿の付け方や計算ミスに悩むこともありますよね。
税理士に任せれば、書類の作成から申告まで代行してくれるので、安心して本業に集中できます。
将来の法人化も相談できる
売上が伸びてきたら、「そろそろ法人化した方がいい?」という悩みも出てきます。
税理士なら、収益や費用のバランスを見ながら、法人化のタイミングを一緒に考えてくれるので、経営の強い味方になります。
税理士に頼むには、毎月の顧問料や申告料がかかります。しかし、その費用以上に節税メリットが大きいこともよくあります。たとえば、ミスで本来より多く税金を払っていたり、使える控除を見落としていたりすると、それだけで何万円も損してしまうことも…。
「本当に必要な支出かどうか?」を相談できる相手がいるだけでも、経営がぐっとラクになります。
税理士というと「お金持ちの経営者が使うもの」と思われがちですが、個人の整骨院でも十分活用できます。特に、開業したばかりの方や、売上が伸びてきた方には、トラブルを防ぐためにも強い味方になります。
困ったときは、一度無料相談してみるだけでも価値がありますよ。
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整骨院・接骨院の経営では、経費の知識を持っているかどうかで、手元に残るお金が大きく変わります。仕事に関係する支出をしっかり経費として計上し、節税制度もうまく使えば、無駄な税金を減らすことができます。
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