2025年10月02日
整骨院を開業したいと考えている柔道整復師の方にとって、「実務経験はどのくらい必要なのか?」と疑問に思っていませんか?
2018年以降、施術管理者として届出を行うためには一定期間の実務経験と研修修了が必須となり、2025年現在は3年間の勤務経験が必要です。
本記事では、整骨院開業に必要な実務経験の期間や認められる勤務内容、施術管理者研修の概要についてわかりやすく解説します。
これから独立開業を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
整骨院の開業に実務経験が必要な理由
柔道整復師の資格を取得しただけでは、すぐに整骨院を開業して保険を扱えるわけではありません。
整骨院を開業して患者さんに安心して通ってもらうためには「施術管理者」としての届出が必要で、その条件のひとつが実務経験の積み重ねです。
以下の記事も参考になります。
接骨院・整骨院開業には資格(柔道整復師)が必要?国家資格だけではダメ?
整骨院で保険を扱うための受領委任制度
整骨院で健康保険を扱うには、施術管理者として地方厚生(支)局へ届出(登録)を行い、「柔道整復療養費の受領委任の取扱い」が認められる必要があります。この取扱いが認められると、患者さんは窓口で自己負担分のみを支払い、残りは施術所が保険者へ療養費を請求できます(本来の償還払いに対する例外的な仕組み)。
この仕組みを利用するには「施術管理者」として登録しなければなりません。施術管理者の要件として実務経験と研修修了が求められており、一般的な流れは次のとおりです。
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柔道整復師として一定期間の実務経験を積む
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実務経験期間証明書を勤務先から受け取る
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施術管理者研修(16時間)を受講・修了する
-
地方厚生(支)局へ届出を行い、施術管理者として登録される
つまり、整骨院開業で保険を取り扱うには、「資格(柔道整復師)+実務経験+施術管理者研修」の3点がそろってはじめて、受領委任の取扱いが可能になります。
実務経験が義務化された背景
以前は柔道整復師の資格を取ればすぐに開業できました。ですが、知識不足による請求ミスや不正請求が問題となり、制度の見直しが行われました。2018年からは施術管理者になる条件が厳格化され、実務経験と研修受講が必須に変わりました。
- 不正請求を防ぐため
- 保険制度を適正に維持するため
- 患者に安心して施術を受けてもらうため
このような背景から、実務経験は「ただの条件」ではなく「信頼される整骨院を運営するための準備期間」と位置づけられています。
開業までの流れ全体を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
接骨院・整骨院の開業の流れ・必要な手続きと開業準備
整骨院の開業に必要な実務経験の期間と内容
整骨院を開業して施術管理者になるには、柔道整復師の資格に加えて一定期間の実務経験が欠かせません。
この実務経験の期間は制度改正により段階的に引き上げられ、現在では3年間が必要とされています。
2025年時点での必要年数(3年)
2025年現在、施術管理者として届け出を行うためには最低3年間の実務経験が条件となっています。
これは資格取得直後にすぐ開業できるわけではないことを意味します。
- 2018年4月~2022年3月まで:1年間の実務経験
- 2022年4月~2024年3月まで:2年間の実務経験
- 2024年4月以降:3年間の実務経験(現行ルール)
つまり、今から整骨院開業を目指す場合は、柔道整復師として3年間の勤務経験を積むことが必須です。
参考:厚生労働省保険局長|「柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱う施術管理者の要件について」の一部改正について
非常勤やアルバイトはカウントされる?
実務経験は正社員だけでなく、非常勤やアルバイト勤務でもカウントされます。
ただし、勤務先の施術管理者や開設者が雇用契約を証明できることが条件です。
- 雇用契約が確認できる場合→カウント可能
- 短時間勤務であっても、雇用契約が成立していれば証明書の発行は可能
- 契約が曖昧な場合や証明できない場合→実務経験として認められない
アルバイト経験でも証明書を発行してもらえるなら実務経験に含まれるため、勤務形態にこだわらず「証明可能な経験」を積むことが重要です。
登録施術所の管理者(開設者又は施術管理者)が雇用契約期間を確認したうえで「実
務経験期間証明書」に証明するものであり、証明において雇用形態(常勤、非常勤、パート、アルバイト)や勤務時間は問わない。
なお、雇用契約内容が、他の常勤の勤務柔道整復師の勤務時間の3分の2未満であるなど、いわゆる短時間労働者であった場合でも雇用契約期間として認められるものであれば実務経験期間証明書の作成は可能である。
整骨院の開業を目指す人にとって、実務経験の3年間は単なる待ち時間ではありません。
この期間に臨床経験を積み、経営や患者対応を学んでおくことが、開業後の成功に直結します。
実務経験とあわせて、開業にかかる資金も準備する必要があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
接骨院・整骨院開業費用は最低いくら必要?資金ゼロ・開業費用を抑えるポイント
整骨院開業に欠かせない施術管理者研修
整骨院を開業するためには、実務経験と並んで施術管理者研修の受講が必須となります。
この研修は、柔道整復師が保険を正しく扱い、質の高い施術を提供するために設けられた制度です。
研修の概要(時間・費用・開催場所)
施術管理者研修は、公益財団法人柔道整復研修試験財団が主催し、全国各地で定期的に開催されています。
- 実施期間:連続した土日または祝日の2日間
- 時間数:16時間以上
- 費用:20,000円程度
- 開催場所:全国の主要都市
- 申込方法:柔道整復研修試験財団の公式サイトから申し込み
研修の内容は、療養費の適正な取り扱い方法や、整骨院の運営に必要な法的知識など。
修了後には「施術管理者研修修了証」が交付されます。
最新情報は、公益財団法人柔道整復研修試験財団のWebサイトにてご確認ください。
修了証の有効期限(5年)と注意点
研修修了証の有効期限は5年間です。
そのため、すぐに開業しない場合でも、有効期限を過ぎると再受講が必要になる場合があります。
注意すべきポイントは次の通りです。
- 届出のタイミングで修了証の有効期限が切れていると、再受講が必要
- 整骨院を移転する際にも修了証の提出を求められるケースがある
- 紛失した場合は再発行が可能だが、時間がかかるため要注意
研修はこれから接骨院を開業する方だけでなく、すでに施術管理者の方も施術管理者変更や移転などで新たに届出をし直す場合なども対象です。
また、施術管理者研修の有効期間は5年です。2023年7月以降は1度受講した方でも再度、事前の受講が必要な方もおられますので、有効期間にご注意ください。
施術管理者研修は単なる形式的な要件ではなく、保険を扱う整骨院の責任者としての知識を学ぶ大切な機会です。
開業を目指す方は、余裕を持って受講日程を確認し、実務経験の積み重ねと並行して準備しておきましょう。
整骨院の開業に必要な資格や条件については、こちらの記事も参考になります。
接骨院・整骨院開業には資格(柔道整復師)が必要?国家資格だけではダメ?
実務経験を積みながら整骨院開業準備を進める方法
整骨院の開業には3年間の実務経験が必要ですが、この期間を「待ち時間」として過ごすのはもったいないことです。
むしろ、この期間を活用して開業準備を進めておくことで、スムーズに独立へと移行できます。
経験を積む間にできる開業準備
勤務しながらでも、整骨院開業に向けて取り組める準備はたくさんあります。
- 資金計画の立案:開業費用や運転資金を算出し、融資や助成金の可能性を検討
- 商圏調査:勤務先の地域や通勤エリアを調査し、将来の立地候補をリサーチ
- 集客戦略の構想:チラシやホームページなどの広告方法を学んでおく
- 経営スキルの習得:数字の管理やスタッフマネジメントの基本を意識して学ぶ
- 内装や設備の情報収集:必要な機器やデザインの費用感を把握しておく
実務経験中にこれらを進めておけば、独立開業後に余裕を持ってスタートを切れます。
必要書類と届出の流れ
整骨院を開業する際には、実務経験の証明書や研修修了証を添えて、施術管理者としての届出を行う必要があります。
並行して、保健所への開設届や税務署への開業届など、複数の書類提出が求められる点も覚えておきましょう。
- 地方厚生局:施術管理者の届出(実務経験証明書+研修修了証)
- 保健所:施術所の開設届の提出
- 税務署:個人事業主としての開業届や青色申告の申請
これらの手続きは一度に行う必要があるため、事前にスケジュールを組んで準備しておくことが大切です。
整骨院開業は「資格を取ったらすぐに」できるものではありません。実務経験の3年間を準備期間と位置づけ、経営の知識や開業に必要な手続きを前もって整えることで、開業後の不安を大きく減らすことができます。
開業時に必要な助成金についても知っておくと安心です。
接骨院・整骨院開業の助成金・補助金4選【2025年最新】資金調達に役立つ制度を解説
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整骨院の開業には、柔道整復師の資格だけでなく、実務経験や施術管理者研修の修了といった要件を満たす必要があります。
また、資金計画・立地選び・集客戦略など、開業準備は幅広く、ひとりで進めるには大きな負担となりがちです。
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