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「接骨院は廃業率が高い」「95%が廃業するらしい」
そんな情報を目にして、開業を迷っている方は多いのではないでしょうか。
確かに、接骨院・整骨院の業界には厳しい現実もあります。
しかし、ネット上で語られている数字の中には根拠が曖昧なものもあるといえるでしょう。
そこで本記事では、接骨院・整骨院の開業支援実績1,700件以上のジョイパルが、信頼できるデータをもとに廃業率の実態を丁寧に解説します。
また、実際に廃業に至る多くのケースでは、開業時の準備不足や戦略の欠如が原因であり、適切な計画と運営ノウハウを押さえれば、開業後の経営を安定させることは十分可能です。
記事の後半では、廃業リスクを下げるための具体的な対策や成功のポイントも紹介します。
なお、接骨院・整骨院の開業の流れについて知りたい方は、開業準備について網羅的にまとめた「整骨院開業の流れ・必要な準備は?整骨院を開業するための資格・費用・手続きをわかりやすく解説」の記事をぜひ参考にしてください。
https://joypal.jp/osteopathic-clinic-opening-flow/
接骨院・整骨院の廃業率は?「廃業ラッシュ」と言われる業界の実態

近年、接骨院・整骨院を取り巻く経営環境は厳しさを増しており「廃業が増えている」という声も多く聞かれます。では、実際のデータはどうなっているのでしょうか。
正確な「廃業率」のデータはないが倒産件数は上昇傾向
接骨院・整骨院(柔道整復師による施術施設)だけに絞った正確な「廃業率」を示す公的データは存在しません。ネットで見かける「95%が廃業」などといった数字は出典が不明確で、公的統計では確認できません。
とはいえ、接骨院・整骨院をとりまく業界の競争環境が厳しいのは事実です。
東京商工リサーチの調査では「マッサージ業(接骨院や鍼灸院、リラクゼーション店等)」の倒産件数が増加傾向にあり、2025年上半期には過去最多の55件となりました。
別の帝国データバンクの調査でも、接骨院・整骨院等の倒産件数は年々上昇傾向にあると示されており、経営体力が弱い院は淘汰されやすくなっていることがわかります。

引用元:帝国データバンク|2018 年度の収入高合計は 2000 億円を突破 ~店舗数増加で競合激化、倒産件数は 2000 年以降で最多~
参考:東京商工リサーチ||2025年1-6月の「マッサージ業」倒産55件 20年間で最多、熾烈な競争で値上げも限界 | TSRデータインサイト
危険なのは開業後3~5年?生存率の目安
接骨院・整骨院業界では「開業後3年で半数が廃業する」と語られることがありますが、これは実際のデータとは異なります。
中小企業庁の『中小企業白書2023年版』では、日本の起業者の5年後生存率は80.7%と示されており「半数がすぐに潰れる」という噂は誇張されたものと言えます。
ただし、開業後3〜5年目が経営の難所であることは事実です。
「創業融資の返済は本格化する」「開業直後の集客ブーストが落ち着く」といった要因が重なり、廃業までは至らなくても経営が不安定になりやすい時期です。「即廃業」はしなくとも、この時期を乗り越えられるだけの体力をつけておくことが重要です。
倒産だけではない「隠れ廃業」のリスク
一般に語られる「接骨院・整骨院の廃業率」は、倒産件数だけでは実態をつかめません。
「倒産」は法的整理を行った事業のみで、実際の廃業(休廃業や自主閉院)を反映していないからです。
中小企業白書(2025年版)では、全国の休廃業・解散企業数が約7万件とされ、倒産の約7倍に上ります。これは「数字に出ない廃業率」が非常に高いことを示しています。
接骨院・整骨院業界でも同じ傾向がみられ「借金返済後に自主的に閉院する」、「経営が続けられず勤務柔整師へ戻る」などのケースは「倒産」に含まれず、統計上の廃業率を押し上げています。
そのため、表面的な倒産件数だけを見て「廃業率は低い」と判断するのは危険です。
実際には、統計に現れない撤退が多く、接骨院・整骨院の廃業率は数値以上に高く見ておく必要があるといえるでしょう。
参考:中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版) 第8節 開業、倒産・休廃業
なぜ潰れる?接骨院・整骨院が廃業する4大原因
ここからは、接骨院・整骨院が廃業につながる主な原因を紹介します。
【供給過多】コンビニに迫る店舗数による競争激化
厚生労働省の『令和6年度 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』によれば、全国の柔道整復の施術所数は 50,924 か所(令和4年末時点)です。

引用元:厚生労働省|令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 p.8
一方、一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンスストア統計」によると、コンビニ店舗数は55,962店舗(2025年10月現在)とされています。
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数 |
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接骨院・整骨院(柔道整復施術所)など |
50,924 |
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コンビニエンスストア |
55,962 |
つまり接骨院・整骨院の数はコンビニ店舗数に迫る勢いで、人口減少・市場飽和の中で競争が極めて激しい状況であることは明らかです。
近所だから利用される時代は終わりつつあり、選ばれるための差別化・集客戦略がない院は淘汰されやすくなっています。
【制度の壁】療養費(保険請求)審査の厳格化
接骨院・整骨院経営では、これまで健康保険による療養費が大きな収入源でした。しかし近年、国の方針により保険請求の審査が大幅に厳格化されています。
本来、柔道整復師が保険を使えるのは「外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫」に限られますが、以前は慢性的な肩こりや腰痛にも保険を適用するグレーな運用が行われていました。
現在は厚生労働省や地方厚生局のチェックが強まり、こうした請求はほぼ通りません。
その結果、保険収入に依存していた院では返戻や指導のリスクが増加し、保険だけで利益を確保することが難しくなっています。
この変化に対応できず、売上が急減して経営が立ち行かなくなる院も増えているのです。
【経営力不足】「腕が良ければ流行る」という誤解
接骨院・整骨院が廃業する大きな原因は、技術不足ではなく「経営力の不足」にあります。
職人気質の柔道整復師ほど「技術が高ければ来院者は自然と増える」と考えがちですが、どれほど腕が良くても、知ってもらわなければ来院にはつながりません。
現在の飽和市場で必要なのは、治療技術に加えて 集客・会計・マーケティング・マネジメントといった経営スキルです。
数字が苦手なまま、集客の仕組みもない状態で開業することは、武器を持たずに戦うようなもの。技術があっても資金繰りができず、廃業に至るケースが多いのが現実です。
【資金・人材】キャッシュフロー悪化と採用難
資金繰りの失敗と、深刻な人材不足が廃業率を高める大きな要因です。中でも「スタッフが採用できない」という課題が最近際立っています。
たとえば、令和6年度の就業柔道整復師数は78,666人と過去最多を記録し、有効求人倍率が高いことから人材市場は売り手優位になっています。
開業後、スタッフを確保できず院長一人がすべての業務を担い続けると過労を引き起こし、円滑な運営は困難です。
また、採用コスト(求人広告費・紹介料)で利益を圧迫するケースも少なくありません。
資金力に余裕がないと、こうした負荷であっという間にキャッシュフローが悪化し、廃業に傾きやすいのです。
参考:厚生労働省|令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 p.8
明日は我が身…よくある接骨院・整骨院の廃業事例パターン

次に、実際に廃業へ追い込まれた院でよく見られる失敗パターンを3つ紹介します。多くの院が陥りやすい典型的なケースです。
事例1:立地選びを誤る
① 認知されづらい悪立地を選んでしまう
家賃を抑える目的で人通りの少ない路地裏や駅から離れた場所を選ぶと、通行量が少なく認知されにくいため自然な集客が期待できません。
開業直後は広告費にも余裕がないため認知拡大が進まず、固定費だけが負担となり、損益分岐点に届く前に資金が尽きるリスクが高くなります。
② ターゲット層の生活動線と合わない場所を選んでしまう
ビジネスパーソンを想定しているのにオフィス街から外れた場所に開業するなど、ターゲット層と生活動線が合わないと利用されません。
認知されても通いにくいため継続利用につながらず、来院数が想定より伸びずに資金計画が崩れる原因になります。
開業場所・立地の選定ポイントについては「接骨院・整骨院の開業場所や立地・物件選びのポイントをわかりやすく解説!」の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
https://joypal.jp/location-opening-osteopathic-clinic
事例2:保険依存からの脱却に失敗しジリ貧に
開業直後「まずは人を集めたい」と保険診療を中心に集客するケースは少なくありません。
窓口負担が安いため来院者は増えますが「安い接骨院・整骨院」として定着してしまうと、高単価の自費メニューへ移行することが難しくなります。「急に料金が高くなるのか」という反発で客離れが起きやすいためです。
一方、保険診療を続けても審査は年々厳しく、客単価は上がりません。結果として、長時間働いても利益が残らないジリ貧状態に陥り、体力的・経営的に限界を迎えて閉院を選ぶケースが目立ちます。
事例3:過大な初期投資で運転資金がショートする
理想の接骨院・整骨院にしようと内装にこだわりすぎたり、高額な治療機器を複数導入したりして、開業資金を使い切ってしまうケースはよくあります。
しかし、経営で最も重要なのは「手元の現金(キャッシュ)」です。初期投資に予算をかけすぎると、開業後に必要となる運転資金が残りません。
開業直後は売上が予定どおりに立たないことも多く、初月から家賃やリース料の支払いが重荷になります。
本来は数ヶ月間の立ち上がりに耐える資金が必要ですが、運転資金が確保できていないために早期で資金ショートを起こし、廃業に追い込まれてしまうのです。
開業後の資金繰りについては、具体的な金額を示しながら解説をしているジョイパルの動画が参考になります。
開業支援のプロが資金の考え方や注意点をわかりやすく丁寧に説明しているため、初めての方でも理解しやすい内容です。
開業準備の進め方を知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
廃業率の高さに負けない!接骨院・整骨院が生き残るための5つの対策法

ここからは、実際に接骨院・整骨院が生き残るために欠かせない具体的な対策を5つ紹介します。どれも今日から準備できる重要なポイントです。
対策1:徹底的な「商圏調査」で勝てる立地選択
立地は接骨院経営の成否を大きく左右します。勘や不動産会社のすすめだけで決めるのではなく、必ずデータに基づく「商圏調査」を行いましょう。
【商圏調査のステップ(立地判断のためのチェックリスト)】
STEP1:エリアの基礎情報を把握する
- 開業予定地の半径500m〜1km圏内の人口
- 年齢層・世帯構成(高齢者が多い・ファミリー層が多い など)
- 昼間人口・夜間人口の違い
STEP2:競合状況を調べる
- 接骨院・整骨院・整体院・リラクゼーション店などの数
- 各院のメニュー内容(保険・自費)
- 価格帯
- Googleマップ・口コミ評価の傾向
STEP3:現地を歩いて導線・視認性を確認する
- 主要な通りの人通り(時間帯別にチェック)
- 駅・バス停・スーパーなどの生活導線との位置関係
- 看板の見えやすさ・目に留まりやすさ
- 店前の入りやすさ(入り口の広さ・雰囲気など)
STEP4:ターゲットとの相性を判断する
- 自院の想定顧客が多いエリアか
- 競合と差別化できるポイントがあるか
対策2:自費移行を前提とした「コンセプト設計・差別化」
保険収入に頼れない今、自費診療を軸にした経営が前提になります。
そのためには「何でも診ます」という曖昧な形ではなく、誰のどんな悩みを解決する院なのかを明確にすることが重要です。
たとえば
- 産後骨盤矯正の専門院
- スポーツ障害の早期回復専門
- 慢性腰痛を改善する深層筋アプローチ
などターゲットを絞ったコンセプトが有効です。
「他ではなく、この院を選ぶ理由」を作ることが差別化の核心です。専門性を示すほど、自費でも価値を感じる来院者が集まりやすくなります。
開業前からコンセプトを固め、それに沿ったメニュー設計を進めていきましょう。
対策3:Web・SNSを活用した「集客の仕組み化」
今や「待つだけの集客」では来院につながりません。チラシや看板に加えて、WebやSNSを使った仕組み化した集客が必須です。
来院者の多くは事前にスマホ検索を行うため、スマートフォンに最適化されたホームページの整備は基本です。
また、地域で集客する接骨院・整骨院には、Googleマップで上位表示を狙う MEO対策(Googleビジネスプロフィールの運用)は特に効果的。マップ上で上位に出るだけで、近隣住民の来院候補に入りやすくなります。
さらに、InstagramやLINEで院の雰囲気や施術内容を継続発信し、認知から予約までの流れをオンライン上に作ることで、安定した集客につながります。
一方、ターゲット層がSNSになじみのない世代である場合、チラシによる集客も有効です。「整骨院のチラシ作成に使える無料テンプレートと注意すべき広告規制」の記事をご覧ください。
https://joypal.jp/osteopathic-clinic-flyer/
対策4:余裕を持った「資金計画」と数値管理
資金が尽きれば、どれほど良い施術ができても院は続けられません。
開業後数ヶ月は赤字を想定し、余裕のある資金計画を立てましょう。理想は、売上ゼロでも家賃・生活費を払える運転資金を半年〜1年分確保すること。
足りない場合は、日本政策金融公庫などの創業融資を活用して手元資金を厚くしておくことが重要です。
開業後は「どんぶり勘定」をやめ、売上・経費・来院数・客単価などを日々数字で把握します。
数値が見えていれば、早めの集客施策や改善策が打てるため、経営の安定につながります。
接骨院・整骨院の開業費用に関する情報は「接骨院・整骨院開業費用は最低いくら必要?資金ゼロ・開業費用を抑えるポイント」をご覧ください。開業にまつわる各項目の具体的な金額相場や資金調達方法について紹介しています。
https://joypal.jp/osteopathic-clinic-opening-costs/
接骨院・整骨院の補助金・助成金についての情報は「接骨院・整骨院開業の助成金・補助金4選【2025年最新】資金調達に役立つ制度を解説」で詳しく紹介しています。開業準備の参考として、あわせてご覧ください。
https://joypal.jp/osteopathic-clinic-subsidy/
対策5:リピーターを生む「接遇・コミュニケーション力」
新規集客も重要ですが、経営を安定させる鍵はリピーターの存在です。来院を続けてもらえるかどうかは、技術だけでなく「院での体験」や「先生の対応」に大きく左右されます。
来院者の話を丁寧に聞く傾聴力、原因や改善方法を分かりやすく伝える説明力、安心して過ごせる接客力を徹底することで、信頼関係が生まれます。
「この先生なら任せられる」と感じてもらえれば通院が継続し、紹介にもつながります。ファンを増やすコミュニケーション力こそ、廃業を防ぐ大きな武器になります。
接骨院・整骨院で心地よい体験を提供するには、開業時に内装やレイアウトにもこだわる必要があります。
詳しく知りたい方は「整骨院・接骨院の内装をおしゃれにするには?レイアウト事例も紹介」の記事をご覧ください。
https://joypal.jp/osteopathic-hospital-interior/
廃業リスクを避けるには「正しい準備」とプロの支援が不可欠
接骨院・整骨院の廃業率は噂ほど高くありませんが、実際には倒産に含まれない「隠れ廃業」も多く、油断はできないことをお伝えしてきました。
ターゲットに合う立地選定、資金計画、保険依存からの脱却、集客など、開業には多くの専門的な判断が必要となり、施術に専念してきた柔道整復師が一人で対応するのは非常に難しいのが現実です。
小さな判断ミスが積み重なると開業後の経営を圧迫してしまい、思わぬ廃業リスクにつながります。
だからこそ、開業段階からプロの力を借りることが、成功への最短ルートです。
ジョイパルは、1,700件以上の接骨院・整骨院の開業支援実績をもとに、物件選び、融資、内装、集客までワンストップでサポート。
「開業で失敗したくない」「確実に成功したい」 という方は、どうぞ気軽にジョイパルへご相談ください。あなたの理想の院づくりを、プロが最初の一歩から伴走します。

「開業準備で忙しくてSNSまで手が回らない・・・」
「アカウントは開設してみたものの、何を発信していいかわからない・・・」
そんなお悩みはありませんか?
接骨院・整骨院の開業において、広告費をかけずに始められるSNS発信は、今や欠かせない集客手段となっています。
しかし、運用には手間がかかる上に、投稿内容によっては広告規制の対象となるため、正しい知識をもって運用しなければ思わぬリスクを招くことも。
そこで、これまで接骨院・整骨院の開業支援を約1,700件以上サポートしてきた「ジョイパル」が、SNS集客の基本から始め方、各SNSの特徴、運用時に押さえるべき法律上の注意点までわかりやすく解説します。
接骨院・整骨院の開業については「整骨院開業の流れ・必要な準備は?整骨院を開業するための資格・費用・手続きをわかりやすく解説」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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接骨院・整骨院の開業にSNS集客が必須な3つの理由

接骨院・整骨院の開業においては見込み客へのアプローチが欠かせません。そのためには、SNSの活用が有効です。SNSが必須といえる3つの理由を紹介します。
コストをかけずに集客できる
SNS集客の最大の魅力は、基本的な機能を無料で利用でき、費用対効果が非常に高い点です。
開業準備中は、物件の契約や設備の導入などで多くの資金が必要となり、広告にかけられる費用は限られるでしょう。
チラシの印刷やWeb広告の出稿には費用がかかりますが、SNSのアカウント開設や日々の投稿は無料で行えます。
コストをかけずに自院の存在や自身のことを多くの人に知ってもらえるSNSは、資金が限られる開業準備の時期において、非常に効果的な集客手段です。
接骨院・整骨院の開業にかかる費用については「接骨院・整骨院開業費用は最低いくら必要?資金ゼロ・開業費用を抑えるポイント」の記事で詳しく紹介しています。
https://joypal.jp/osteopathic-clinic-opening-costs/
人柄や専門性が伝わる
SNSは、施術者自身の人柄や仕事に対する想いを直接伝え、利用者との信頼関係を築くのに適したツールです。
近年、利用者は施術の内容だけでなく「どんな人が施術を担当してくれるのか」を非常に重視するようになりました。
事前にSNSを通じて人柄や考え方に触れることで、利用者は安心感を抱き、来院への心理的なハードルが下がります。
たとえば、日々の学びや施術にかける情熱などを発信することで、他の接骨院・整骨院との違いが自然と伝わるでしょう。
継続発信による単純接触効果がある
継続的にSNSで発信することは、利用者の記憶に残りやすくなる「単純接触効果(ザイアンスの法則)」を生みます。
人は何度も目にする情報に自然と好感を抱きやすくなるため、週に数回ストレッチ方法や健康の豆知識、接骨院・整骨院の様子を投稿するだけでも、潜在的な利用者に親近感を持ってもらえます。
結果として、身体に不調を感じた瞬間に「そういえば、あの接骨院・整骨院があった」と思い出してもらえる確率が高まり、来院につながりやすくなるのです。
接骨院・整骨院開業時に始めるSNS集客3ステップ

では実際にどのようにSNS運用を始めたらいいのか、3ステップで順を追って紹介します。
【ステップ1】ターゲットと発信内容の設定
SNSでの情報発信を成功させるには、まず「誰に、何を伝えたいか」という活動の軸を明確にすることが大切です。
この軸が曖昧なまま発信を始めてしまうと、投稿内容に一貫性がなくなり、結果として誰の心にも響かない情報になってしまいます。
「いろんな人に見てもらいたい」と考えるのではなく、届けたい相手を絞り込みましょう。
たとえば「自身の強みは学生アスリートのコンディショニングサポートだ」と定義し、届けたい相手は「部活動に励む地元の高校生」と具体的に設定します。
こうすることで「捻挫をした時の応急処置法」や「試合前の効果的なストレッチ」など、発信するべき情報の内容が自然と明確になります。
【ステップ2】SNSの選定とプロフィール作成
次に、設定したターゲットが多く利用しているSNSを選び、法律で定められた範囲内で自身のことが伝わるプロフィールを作成します。
SNSにはそれぞれ異なる特徴や利用者の年齢層があります。ターゲットに合わせて活動の場を選ぶことが、効率的な情報発信につながります。
また、プロフィールは接骨院・整骨院の「顔」となる重要な部分です。どんな人が運営しているアカウントなのかが一目でわかるように作り込みましょう。
【ステップ3】「週2回」からの継続的な発信
SNS運用で最も大切なのは、完璧な投稿を目指すことよりも、無理のない範囲で継続し発信を習慣にすることです。
多くの人がSNS運用でつまずく原因は「続けられない」こと。
開業準備で忙しい中、毎日質の高い投稿を続けるのは現実的ではありません。まずは「週2回」など、自分にとって負担の少ないペースから始めてみましょう。
たとえば「月曜は体の仕組みに関する豆知識、木曜は簡単なストレッチ紹介」のように、投稿する内容のパターンをあらかじめ決めておくと、ネタ切れを防ぎやすくなります。
大切なのは、継続することで少しずつ未来の利用者に認知してもらうことです。
SNS別接骨院・整骨院ブランディング戦略と投稿ネタ

SNS集客を成功させるには、どのSNSを運用するか、どのような内容で発信していくかが非常に重要です。
以下でSNSごとの特徴とおすすめ内容を紹介します。
LINE公式アカウント|リピート促進
LINE公式アカウントは、一度接点を持った利用者と継続的な関係を築き、再度の来院を促すのに非常に有効なツールです。
他のSNSと違い、登録してくれた人に直接メッセージを送る「プッシュ通知」が可能なため、情報を見てもらえる確率が非常に高いのが特徴。
また、1対1でのやり取りもできるため、予約の受付や個別の相談にも対応しやすいです。
【具体的な活用法】
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■空き状況の配信 |
LINEの構築は、開業後に利用者とのつながりを深めるための重要な基盤となります。
Instagram|世界観でファン化
Instagramは、写真やショート動画(リール)といったビジュアルを通じて、自院の雰囲気や施術者の人柄を伝え、ファンを作るのに最適なSNS。視覚的に魅力が伝わりやすく、人気につながりやすいのが特徴です。
特に、接骨院・整骨院の清潔感やこだわりの設備、内装などを伝えるのに向いています。
文章だけでは伝わりにくい「自院の空気感」を視覚的にアピールすることで、利用者は来院前に安心感を得られるのです。
【投稿ネタ】
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■1分程度のセルフケア動画(リール) |
統一感のある投稿を心がけ、院独自の世界観を表現していきましょう。
YouTube|動画による信頼獲得
YouTubeは、少し長めの解説動画を通じて、専門的な知識をより深く伝え、施術者としての信頼性を高めるためのSNSプラットフォームです。
数分から10分程度の動画で、身体の仕組みや特定の症状が起こるメカニズムなどを体系的に説明することで、情報の受け手は深い納得感を得られます。
文字や短い動画だけでは伝えきれない専門的な内容を、じっくりと解説するのに向いています。
【投稿ネタ】
| ■トレーニング器具の正しい使い方 ■自身の施術方針についての考え方 ■自宅でできるケア方法 |
丁寧に知識や考え方を説明することで、施術者としての権威性や誠実さが伝わり、信頼の獲得につながるでしょう。
X(旧Twitter)|リアルタイムな情報発信
X(旧Twitter)はその速報性と情報の広がりやすさが特徴のSNSで、手軽な情報発信や地域の人々との交流に適したツールです。
140字という短い文章で気軽に投稿できるため、日々のちょっとした気づきや情報をタイムリーに発信できます。
また「リポスト」機能によって、投稿がフォロワー以外の人にも広がる可能性があります。
【投稿ネタ】
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■本日の予約の空き状況 |
開業後も、日々のコミュニケーションツールとして活用しやすいSNSです。
TikTok|ショート動画での認知拡大
TikTokは若年層を中心に、自院の存在を爆発的に広める可能性を秘めたショート動画プラットフォームです。
TikTokの最大の特徴は、フォロワーの数に関わらず、多くの人におすすめとして動画が表示される可能性がある点です。
面白くてためになる動画は多くの人に拡散され、接骨院・整骨院の認知度の向上に大きく貢献します。
【投稿ネタ】
| ■流行りの音楽に合わせた15秒程度の簡単なストレッチ紹介 ■身体に関する「実はやってはいけないこと」といった注意喚起シリーズ |
TikTokは楽しみながら情報をやりとりできるエンターテイメント性が魅力です。
ただし、TikTokユーザーは10~30代の若年層が中心のため、自院の主なターゲット層と合うかどうか運用前にしっかり確認しておきましょう。
ターゲット層の年齢が高い場合はSNSだけでは届きにくいため、紙のチラシは今も非常に効果的な集客手段です。
チラシについては、他記事「整骨院のチラシ作成に使える無料テンプレートと注意すべき広告規制」をご覧ください。
https://joypal.jp/osteopathic-clinic-flyer/
SNSだけじゃない!接骨院・整骨院の集客を最大化するWeb戦略
接骨院・整骨院の開業を成功させるには、SNS集客が効果的です。
しかし、SNSだけでは十分に集客をカバーできないこともあるため、以下のWeb戦略も欠かせません。
地域集客の要「MEO対策」

MEO対策は、Googleマップ上で自院を上位表示させ、近隣の利用者に見つけてもらうための施策です。地域検索との相性が非常に良く、接骨院・整骨院にとって欠かせない集客方法といえます。
「〇〇市 整骨院」と検索された際にGoogleマップに情報が表示されることで、来院につながる可能性が高まります。
まずはGoogleビジネスプロフィールに登録し、名称・住所・電話番号・営業時間などの基本情報を正確に整えましょう。
さらに、院内外の写真を掲載したり、口コミへ丁寧に返信したりすることで、信頼性が高まり、検索結果の評価向上にもつながります。
信頼の受け皿「公式ホームページ」
接骨院・整骨院の公式ホームページは、SNSやGoogleマップで興味を持った人が、最終的に詳しい情報を確認するための「受け皿」となる重要な場所です。
利用者が抱える不安や疑問を解消できるよう、必要な情報を整理してわかりやすくまとめましょう。
ホームページは原則として広告に該当しないとされていますが、景品表示法は適用されるため「必ず治る」など誤解を与える表現は避け、誠実な案内を心がけることが大切です。
接骨院・整骨院の開業時にホームページ制作を検討される方は「接骨院・整骨院開業時のホームページ制作はどうする?事例・集客法・注意点など徹底解説」もお読みください。ホームページ制作のコツや注意点について詳しく説明しています。
https://joypal.jp/osteopathic-clinic-homepage-opening/
Webを連携させた予約導線の設計
SNS、MEO、ホームページといったWeb上のツールは、それぞれを独立させて使うのではなく、互いに連携させて、利用者がスムーズに予約までたどり着ける流れを設計することが重要です。
利用者が「この接骨院・整骨院良さそうだな、予約したいな」と感じたその瞬間に、迷わずに行動できる仕組みが整っているかどうかで、集客の成果は大きく変わります。
予約までの手順が複雑だと、せっかくの機会を逃してしまうことにもなりかねません。
導線づくりの具体的な方法としては、以下が効果的です。
| ■SNSのプロフィール欄にホームページのURLを記載する ■ホームページやGoogleマップにWeb予約システムを導入する |
どの入口から訪れた利用者でも、簡単に予約が完了できる状態を目指しましょう。
接骨院・整骨院のSNS運用に失敗しないための注意点

つづいて、SNSを活用する際に必ず押さえておきたい注意点を紹介します。
特に、医療類似行為を扱う接骨院・整骨院では、法律のルールを理解したうえで運用することが欠かせません。
柔道整復師法とあはき・柔整広告ガイドライン
SNS投稿は、場合によっては「広告」と判断され、柔道整復師法やあはき・柔整広告ガイドラインの規制対象となります。
特に以下の3つの条件をすべて満たす投稿は「広告」と見なされるため、内容には注意が必要です。
| ①利用者を施術所等に誘引する意図があること 【誘引性】 ② 施術者の氏名又は施術所等の名称が特定可能であること 【特定性】 ③ 一般人が認知できる状態にあること 【認知性】 |
厚生労働省|あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関するガイドライン(あはき・柔整広告ガイドライン)
広告に関する表記方法については「接骨院・整骨院の広告規制・広告ガイドライン【2025年最新】」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
https://joypal.jp/osteopathic-college-advertise/
具体的なNG表現リスト
法律では、広告で表現できる内容が厳しく定められています。
意図せずルールを破ってしまうことがないよう、広告と見なされる可能性のある投稿では、以下の表現は使わないようにしましょう。
| ■効果を保証する言葉・・・「必ず治る」「完治する」など ■専門性をアピールしすぎる表現・・・「スポーツ障害専門」「産後ケアに特化」など ■症状名を使った効果の断定・・・「腰痛が治る」「肩こりに効果がある」など ■医療類似行為・医療と誤認される表現・・・柔道整復師の業務範囲外である「マッサージ」「整体」や、医師の行為と誤解される「治療」 ■「診療」「クリニック」など ■最上級の表現・・・客観的な根拠がないにもかかわらず「No.1」「日本一」など |
SNS運用では、法令に抵触しない表現を心がけながら、利用者に誠実な情報を届けることが、信頼される接骨院・整骨院づくりにつながります。
利用者事例や写真の投稿
利用者の声や写真を投稿する際は、必ず事前に書面などで同意を得て、個人が特定されないよう配慮することが必須です。
また、施術前後のビフォー・アフター比較写真は「効果を保証している」と受け取られる恐れがあり、広告規制に抵触するリスクが高いため避けましょう。
接骨院・整骨院におけるSNS運用の乗り越え方

接骨院・整骨院が開業にあたりSNS運用を始める場合、自力で運用する方法と専門家のサポートを受ける方法の2つがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、整理して紹介します。
自力運用のメリット・デメリット
自分でSNSを運用する場合は、自由度が高く、施術者本人の言葉で発信できる点が大きな特徴です。
【メリット】
| ■費用をかけずに始められる ■施術者本人の言葉で想いや人柄を伝えられる ■リアルな発信になり、利用者との距離が縮まりやすい |
【デメリット】
| ■投稿ネタを考える時間が不足する ■広告規制を理解しながら発信し続ける負担が大きい ■継続が難しく、途中で力尽きるケースが多い |
自力運用は運用の自由度は高いものの、開業準備の中「続ける大変さ」と「法令遵守」のハードルが大きな課題になります。
専門家によるサポートのメリット・デメリット
専門家に依頼する場合は、安全で効果的なSNS運用を最短ルートで構築できる点が魅力です。
【メリット】
| ■法令を守った「安全なアカウント設計」ができる ■発信の方向性が明確になり、遠回りしなくて済む ■開業準備や施術の勉強に時間を回せる |
【デメリット】
| ■費用がかかる ■担当者とコミュニケーションを取る時間が必要になる |
専門家への依頼は、SNS運用の「効率」「安全性」を重視したい方には特に向いています。
どちらを選ぶにしても無理なく継続できる方法を選ぶことが、接骨院・整骨院のSNS集客を成功させる最大のポイントです。
接骨院・整骨院のSNS運用に関するよくある質問
Q1. 接骨院・整骨院は開業前からSNSを始めたほうがいい?
はい。開業前から始めることで、認知と信頼を事前に積み上げられます。
準備段階から学びや理念、開院までの過程を発信すると、人柄や考え方が伝わり、オープン時点でファンがついた状態をつくれます。
いざ開業してから一気に発信するよりも、未来の利用者との関係づくりがスムーズに進むため、早めの運用開始が効果的です。
Q2. 接骨院・整骨院が最初に選ぶべきSNSはどれ?
ターゲットによって最適なSNSは異なりますが、まずはInstagramかLINE公式アカウントがおすすめです。
Instagramは院内の雰囲気や人柄を視覚的に伝えられ、開業前からファン化しやすい媒体です。
LINE公式は開業後の予約導線やリピート促進に強く、登録者へ確実に情報を届けられます。
若年層ならTikTok、地域住民との交流ならX(旧Twitter)など、利用者層に合わせて優先順位を決めることが大切です。
Q3. 接骨院・整骨院のSNS投稿でやってはいけない表現は?
効果の保証や専門性の誇張など、法律やガイドラインに抵触する表現は禁止されています。
「必ず治る」「完治します」などの断定的表現や、「○○専門」「No.1」といった根拠のない優良誤認につながる表現はNGです。
また、症状名と効果を結びつける投稿も広告と判断される可能性が高く注意が必要です。
接骨院・整骨院のSNSは法律上の制限が多いため注意しながら、誠実で事実に基づいた発信を心がけましょう。
SNS集客は接骨院・整骨院の開業成功の鍵
接骨院・整骨院の開業において、SNSは費用を抑えながら認知を広げ、未来の利用者との関係を育てる心強い武器です。
この記事では、SNS集客の進め方から法規制の注意点まで解説してきましたが、開業準備の忙しさの中でこれらをすべて自力で進めるのは簡単ではありません。法律の理解や運用の継続に不安を感じる方も多いでしょう。
必要に応じて専門家の力を借りることで、安全かつ効果的にスタートできます。
株式会社ジョイパルでは、これまでに1700件以上の開業支援を行い、SNS運用のサポートからホームページ制作、MEO対策など、接骨院・整骨院のWeb戦略をトータルで支援してきました。
豊富な実績から十分なサポートをさせていただきますので「何から始めればいいかわからない」「正しいSNS運用ができるか不安」という方はお気軽にお問い合わせください。開業成功にむけて精一杯サポートいたします。
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ジョイパルでは、このような質問をよくいただきます
| Q1 | 接骨院、接骨院の開院を検討中だけど、どこで開業するとよいでしょうか? |
|---|---|
| Q2 | 医療機器の購入を検討しているのですが・・・ |
| Q3 | 費用対効果の高い医療機器について聞きたいです! |
| Q4 | 中古医療機器の購入を考えているのですが・・・ |
| Q5 | 今まで以上に 患者さんの集客を考えていますが、どうすれば良いですか? |
| Q6 | 店舗を 患者さんが利用しやすいようにリフォームしたいのですが・・・ |
