「整骨院を開業するには、どんな資格が必要なのか?」
「柔道整復師の資格を取れば、すぐに開業できるのか?」
接骨院・整骨院の開業を考えている方の中には、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、接骨院・整骨院の開業には「柔道整復師」の国家資格が必須です。
しかし、資格を取得しただけでは健康保険を適用した施術を行うことはできず、開業に必要な「実務経験期間」や「施術管理者研修」などの要件も満たす必要があります。
本記事では、接骨院・整骨院を開業するために必要な資格や要件を詳しく解説します。柔道整復師の資格取得の条件に加え、開業に必要な実務経験期間や施術管理者研修の受講要件、健康保険を適用するための受領委任の届出手続きまで、わかりやすく解説します。
接骨院・整骨院を開業するために必要な資格とは?
接骨院・整骨院を開業するためには、「柔道整復師」という国家資格の取得が必須です。
無資格では、施術行為を行うことも、接骨院を開業することもできません。
では、柔道整復師の資格を取得するためには、どのような条件があるのかを見ていきましょう。
柔道整復師の資格を取得するための条件
柔道整復師の資格を取得するためには、以下の2つのいずれかのルートを選択する必要があります。
4年制大学を卒業する
都道府県知事が指定する専門学校に3年以上通う
どちらのルートを選択しても、「柔道整復師国家試験」に合格することが必要です。

試験に合格すると、厚生労働大臣から資格が付与され、晴れて柔道整復師として働くことが可能になります。
無資格では接骨院を開業できない理由
柔道整復師の資格がなければ、接骨院の開業はもちろん、施術行為を行うことも法律で禁止されています。
これは、「柔道整復師法」によって明確に定められており、資格を持たずに開業すると法律違反となるため注意が必要です。
また、医師や理学療法士など、他の医療系資格を持っていても接骨院の開業はできません。
接骨院を開業したい場合は、必ず「柔道整復師」の資格を取得する必要があります。
柔道整復師の資格があれば、すぐに開業できるのか?
柔道整復師の資格を取得すれば、すぐに開業できるわけではありません。
なぜなら、健康保険を適用した施術を行うためには、さらに「施術管理者」としての要件を満たす必要があるからです。
次に、開業に必要な2つの追加要件について解説していきます。
柔道整復師の資格以外に必要な2つの要件
接骨院・整骨院を開業するだけなら、柔道整復師の資格があれば可能です。
しかし、健康保険を適用した施術を行いたい場合は、追加の要件を満たす必要があります。
それが、「施術管理者」になるための要件です。
施術管理者として認められるためには、以下の2つの条件をクリアしなければなりません。
実務経験期間の証明
施術管理者研修の修了
これらの要件を満たさなければ、健康保険を利用した施術(受領委任の取り扱い)を行うことはできません。
つまり、資格を取得しただけでは、自由診療のみでの開業となり、保険診療を取り扱うことは不可能です。
実務経験期間とは?証明方法について
接骨院・整骨院で健康保険を適用した施術を行うためには、一定期間の実務経験が必要です。
これは、施術管理者として適切に保険請求を行い、安全な施術を提供するための要件として定められています。
実務経験期間の条件
実務経験期間の要件は、届出を行うタイミングによって異なります。
届出を行う期間
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必要な実務経験期間
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2018年4月~2022年3月
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1年間
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2022年4月~2024年3月
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2年間
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2024年4月以降
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3年間
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つまり、2024年4月以降に施術管理者として届出を行う場合は、3年間の実務経験が必要となります。
実務経験の証明方法
実務経験を証明するためには、「実務経験期間証明書」の提出が必須です。
この証明書は、以下の手順で取得する必要があります。

勤務していた接骨院・整骨院の施術管理者(開設者)に証明書を発行してもらう
地方厚生(支)局に登録されている勤務実績と照合する
証明書がなければ、実務経験期間を満たしていても、施術管理者として認められません。
そのため、勤務先の管理者と事前に確認し、証明書を確実に取得しておくことが重要です。
柔道整復師実務経験の期間の証明方法柔道整復師実務経験の期間の証明方法は、次の事項の全てを満たす方法とすること。
(1)柔道整復師実務経験の期間の証明は、別紙様式1の実務経験期間証明書により取扱うものとすること。
(2)実務経験期間証明書は、柔道整復師が実務に従事した登録施術所の管理者(開設者又は施術管理者)による証明とすること。
(3)地方厚生(支)局において登録されている勤務する柔道整復師の情報は、2による柔道整復師実務経験の期間を確認するものとして使用すること。
引用:厚生労働省|柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱う施術管理者の要件について
施術管理者研修とは?修了証の取得方法
接骨院・整骨院で健康保険を適用した施術を行うためには、「施術管理者研修」の受講が必須です。
この研修は、適切な保険請求の知識や、施術所の管理運営に必要なスキルを学ぶためのものです。
施術管理者研修の概要
施術管理者研修は、厚生労働省の認可を受けた「公益財団法人柔道整復研修試験財団」によって実施されます。
項目
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内容
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実施機関
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公益財団法人柔道整復研修試験財団
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受講時間
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16時間以上
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研修内容
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施術所の管理・職業倫理・安全な臨床・適正な保険請求など
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受講対象者
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柔道整復師資格を持ち、実務経験期間を満たしている者
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修了証の有効期間
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5年間
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施術管理者研修の受講方法
講義は16時間以上の受講が必須(オンライン受講も可能)
研修修了後に「施術管理者研修修了証」が発行される
修了証の有効期間は5年間で、期限が切れる前に再受講が必要
施術管理者研修を修了しなければ、健康保険を適用した施術を提供することはできません。
そのため、開業を考えている方は、実務経験期間と並行して早めに受講の準備を進めておくことが重要です。
健康保険の取り扱いには受領委任の届出が必要
接骨院・整骨院を開業し、健康保険を適用した施術を行うためには、「受領委任の取扱いに関する届出」を行う必要があります。
この届出を行うことで、患者が窓口で支払う費用を軽減し、保険者(健康保険組合や協会けんぽ)から施術費を受け取ることが可能になります。
受領委任の届出を行うための条件
受領委任の取り扱いを行うためには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
国家資格の「柔道整復師」を取得している
実務経験期間を満たしている(2024年4月以降は3年以上)
施術管理者研修を修了している(有効期間5年)
この3つの要件を満たしたうえで、各地方厚生(支)局へ届出を行います。
届出に必要な書類一覧

受領委任の取扱いに関する届出を行う際には、以下の書類を提出する必要があります。
書類名
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内容
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確約書(様式第1号)
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健康保険の適正な取り扱いを誓約する書類
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柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(様式第2号)
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保険適用の施術を行うことを申請する書類
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施術管理者選任証明(開設者と施術管理者が異なる場合)
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施術所の責任者を証明する書類
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受領委任の取扱いに係る申し出(同意書)(様式2号の2)
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施術所の管理者としての同意を示す書類
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誓約書(様式2号の3)
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法律違反がないことを誓約する書類
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欠格事由非該当届出書
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施術管理者としての欠格要件に該当しないことの証明
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実務経験期間証明書
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必要な実務経験を満たしていることを証明する書類
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WordやPDFは、「地方厚生局の柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任に関する申し出等」からダウンロードできます。
※地域によって必要な書類が異なる場合があるため、事前に各地方厚生(支)局で確認することが大切です。
届出後の流れ
- 必要書類を揃え、各地方厚生(支)局へ提出
- 審査が行われ、問題がなければ受領委任の取り扱いが認可される
- 認可後、保険適用の施術を提供可能になる
受領委任の届出を行わない場合、自由診療(自費施術)のみでの運営となり、保険適用の施術は提供できません。
そのため、開業後に健康保険を活用した施術を行う予定の方は、事前に届出の準備を進めておきましょう。
資格取得後に接骨院・整骨院を開業するまでの流れ
柔道整復師の資格を取得し、実務経験期間と施術管理者研修を修了し、受領委任の届出を行えば、開業の準備が整います。
しかし、開業には物件選びや資金計画、集客対策などの準備が必要です。ここでは、接骨院・整骨院の開業までの一般的な流れを解説します。
物件を探す・商圏調査を行う
接骨院の立地は、集客に大きな影響を与える重要な要素です。
ターゲット層が多い地域を選ぶ(住宅街・駅前など)
競合が多すぎないエリアを選ぶ(商圏調査が重要)
家賃と売上見込みを比較し、無理のない資金計画を立てる
事業計画・資金計画を立てる
開業資金には、物件取得費・内装工事費・機器購入費・広告費・運転資金などが含まれます。
開業資金の目安は400万円~1,500万円
金融機関からの融資や助成金・補助金の活用も検討する
3ヶ月~6ヶ月分の運転資金を確保しておく
また、「整骨院を開業するには、どれくらいの費用がかかるのか」や「整骨院を開業する際に使える助成金や補助金は何か」を事前に確認しておきましょう。
内装工事・設備導入を行う
施術スペース・待合室のレイアウトを決める
施術ベッド・物理療法機器・レセプトソフトなどを導入
清潔感のある院内環境を整える
開業の届出を提出する
保健所への「施術所開設届」の提出
税務署への「開業届」「青色申告申請書」の提出
地方厚生(支)局への受領委任の届出(保険診療を行う場合)
スタッフ採用・運営準備
受付スタッフや施術スタッフを採用(1人で運営する場合は不要)
開業前に集客対策(Webサイト・SNS・MEO対策)を準備
チラシ配布・プレオープンイベントの実施で認知度を高める
このように、接骨院・整骨院の開業には資格取得以外にも多くの準備が必要です。
計画的に準備を進めて、開業を成功させましょう。
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接骨院・整骨院を開業するためには、柔道整復師の資格が必須ですが、それだけでは保険診療を行うことはできません。
健康保険を適用した施術を行うには、「施術管理者」として認定されるための要件を満たす必要があります。
本記事で紹介したとおり、以下は、接骨院・整骨院を開業するために必要な条件です。
必須条件
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内容
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柔道整復師の国家資格
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4年制大学または3年以上の専門学校を卒業し、国家試験に合格する
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実務経験期間
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2024年4月以降は3年間の実務経験が必要
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施術管理者研修の修了
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16時間以上の研修を受講し、修了証を取得する
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受領委任の届出
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健康保険を適用した施術を行うために、各地方厚生(支)局へ届出を提出
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